有明の長〜い1日
実施日:2005年3月21日
旅行先:東京ビッグサイト


 コミックマーケット(コミケ)は今年で30歳。
 そこで今春、それを祝う記念イベントが行われました。会場はいつものあそこ。有明の東京ビッグサイト。但し今回は西ホールだけの使用なので、いつもみたいに東〜西の間を大移動する必要がないので楽かも知れません。
 ところが、記念ということだけあって、今回はいつもとは毛色が違っていました。なんと、24時間ぶっ通しでやることになってしまったのです。午前0時に設営を開始し、24時間以内に撤収までの全ての行程を完了させる。 その名も『30周年記念24耐(!?)コミケットスペシャル4』。ただでさえ体力勝負のコミケが24時間も続く、まさに恐怖の祭典です。しかも当サークルは、このイベントにサークル参加します。
 
 今回のお話は、そのイベントに、設営開始から撤収完了まで参加したお話です。

 今回のイベントはサークル参加者が作品を頒布する通常の同人誌即売会の他に、サークルさんが通常よりも広いスペースを確保して、通常のコミケでは出来ないことを行う『企画展示』もあります。同人誌即売会は二部制の入れ替え制で、当サークルは第2部にサークル参加します。

 

 

第一章 一般参加編

1,イベント前の静けさ

 有明に着いたのは、設営開始の1時間前、20日の23時頃でした。
 りんかい線の国際展示場前で下車し、会場へ向かって歩いていると、やぐら橋の手前にはすでに長蛇の行列が出来ておりました。この行列は第1部の入場行列です。有明に到着した一般参加者たちを、コミックマーケット準備会のスタッフが遙か彼方の列最後尾へと手際よく誘導しています。
 設営参加希望の私は、カタログで告知された集合場所に向かいました。やぐら橋を渡って金色の逆三角形をした会議棟の下へ行くと、すでにスタッフさんたちが集まって、なにやらミーティングをしています。それを脇目に、会場の入口へと急ぐ。
 集合場所は『アトリウム』と呼ばれる、西1階の吹き抜けの部分。ところがまだ会場の入口には鍵がかかっており、入ることが出来ません。仕方ないなぁ。そばで待つことにする。
 近くに屋外トイレがあったので用を足しに行くと、「お疲れさまです」と話しかけてくる声が。コミケの参加者です。彼とはすぐにうち解け、楽しい会話が始まりました。話の内容は今回のコミケのことが中心。
 24時間なんて、コミケの総統の米ヤンはとんでもないことを考えたものだ。しかもコミケ内とは言え、入れ替え制があるのもビッグサイトにとっては初めてらしいです。今回のコミケはただ者ではない。お互い、体に気をつけて24時間頑張りましょう……。
 コミケの参加者どうしは、なぜか初対面でもすぐにうち解けてしまいます。コミケを成功させよう、コミケで思い切り楽しもう、という共通の目的があるからでしょうね。
 彼はスタッフで、同じ部署のスタッフが揃ったところでミーティングが始まりました。シフトがどうのこうの、と言っていたので、最初は大手サークルの共同購入の話かと思ってしまいました。スタッフさんは何かと守秘義務があったりするので、スタッフではない私はこのへんで席を外させてもらいました。
 
 他のスタッフさんが、設営希望者は一旦やぐら橋を降りて欲しいというので、その通りにしました。しかしどこで待機していいか分からなかったので、そばにいたスタッフさんに聞いてみる。すると、しばらくその辺で待機して欲しい、とのことでした。
 そばのベンチで待っていると、設営行列をつくるという旨の案内がありました。私もそこへ行きましたが、行列形成の速いこと速いこと。見る見るうちに列が出来てしまいました。
 まさか設営行列が出来る時代が来ようとは。一般入場行列の人たちは、スタッフの『設営行列』という言葉に反応して、苦笑しています。

2,遙かな列、遠い空

 もうすぐ日付が変わる頃、いよいよ設営行列は会場に向かって動き始めました。軍隊のように統率のとれた行列が、一歩一歩会場に近づいていきます。それにつれて“戦場”のビッグサイトが目前にどんどん迫ってきます。そして会議棟の真下に着いたところで、一旦その場に待機。会議棟の真下の広い空間は、折り畳まれた行列で見る見るうちに埋まってしまいました。

 日付が変わり、21日の午前0時になりました。しかし、何も動きはありません。十数分待ったところで、ようやく設営ミーティングの長が登場。
 待ってましたと言わんばかりに、盛大な拍手がわき起こりました。長は拡声器を使って説明を始めましたが、遙か彼方にいるため、何を言っているのかよく聞こえません。そしてようやく聞こえた一言がこれでした。
「こんなに面倒見きれねぇ!残念だが夏にまた会おう!」
 つまり人数が多すぎて、設営には参加できないとのことでした。その後スタッフに誘導されて、すぐそばに連れて行かれました。そしてそのまま、行列は第1部の入場行列に早変わり。スタッフは最後にこう言い放ちました。
「5時半になったら列が動きますので、それまでには戻ってきて下さい」

 後で分かったことですが、机やイスの総数よりも、設営希望者の人数の方が多かったそうです……。

 有明の夜は寒い。
 コミケには嬉しい晴天の天気で、空には月や星が出ていますが、遮る物がないために、地上の熱は容赦なく宇宙に向かって逃げていきます。
 5時半までは、まだ4時間以上もあります。それまでこのような状況下で待たなければなりません。そう言えば企画展示の開始は第1部より4時間早い午前3時からだから、朝焼けが始まる前には会場に入れるかも知れない。実は私は第1部では同人誌よりも企画展示を目当てにしているから、先行入場は非常にありがたい。
 行列を見張っているのはスタッフさん。2〜3人組で行列を見張り、有事にすぐ対応出来るようにしています。しかし肝心の行列は、多くの人が荷物だけをそこに置き、トイレやコンビニに行っています。
 スタッフさんは時々、カタログが全員購入制であり、持っていない人はカタログ販売所で買って欲しい、と拡声器で案内をしています。行列内の人たちは、仲間内でおしゃべりをしたり、カタログでサークルチェックをしたり、携帯ゲーム機で遊んだりしています。既に第2部の行列が出来始めている、と言う人もいます。ちなみに第2部は16時ちょうどから始まります。十数時間も待つなんて、私には出来ません。

 一人で参加している私には、退屈な時間が過ぎていきます。1時半を過ぎたあたりから風が吹き始め、体感気温はますます下がっていきます。しかも前のイベントの撤収が遅れたらしく、コミケのスケジュールも1時間遅れているようです。企画参加の入場は3時過ぎになるとのことでした。
 小腹が空いたので最寄りのコンビニに行ってみると、レジにはもの凄い行列が。適当に商品を選んで行列に並び、そして会計を済ませて店を出るまで、実に30分以上もかかってしまいました。

 入場行列に戻った頃、いよいよ企画参加の入場行列形成が始まりました。早速自分もそこへ並ぶ。列形成場所の会議棟の真下は、水銀灯に照らされてとても明るいのですが、密集陣形の中にも強風が入ってきて寒いです。あの水銀灯が全部ハロゲンヒーターだったらいいのになぁ、と思いました。
 そうして30分ほど待った頃、いよいよ列が動き始めました。
 「カタログを上に上げて下さい」というスタッフさんに従って、全員カタログを高々と上に差し上げる。列監視のスタッフさんは「間もなく温かい会場内に入れます」などと言って、みんなを励ましています。さぁ、もうすぐ寒〜い風さんとお別れです。
 そして2列ずつ、ビッグサイトの中に入っていきました。入口に立っているスタッフさんがカタログチェック。みんなカタログを上に差し上げているので、チェックは一瞬で終了。スムーズに会場内に入っていきます。そして廊下に入ると、その温かいことと言ったら!

 エスカレーターを降りてアトリウムに到着すると、一安心です。水銀灯に照らされて明るく、暖房も効いていて温かい空間がそこにあります。ドキドキ、ワクワクしながら開会宣言を待ちます。
 そして4時ちょうど、
「これより、30周年記念24耐(!?)コミケットスペシャル4を、開会いたします」という開会宣言放送がかかり、それと同時に盛大な拍手がわき起こりました。さぁ、コミックマーケットの始まりです!
 企画展示は西4階の西3ホールと西4ホールにあるので、そこの通路までエスカレーターで一気に上がります。エスカレーターは2本あるので、2列ずつ順序よく乗り込みます。

3,夢の祭典

 そしてようやく自分もエスカレーターに乗り、一気に西4階へ。この長いエスカレーターが異空間へのパラレルワールドに見えてきたのは私だけでしょうか?
 異空間に到着したら、まず目指すは西3ホールの更衣室。通路からアトリウムを覗き込むと、そこには美しい行列が!整然と並んだ行列が、崩れることなく鎮座しています。学校行事などとは全く関係のない場所でここまで美しい行列が見られるのは、日本中、いや世界中探してもコミックマーケットだけかも知れません。もちろん彼らに軍隊の経験はありません。
 その美しい行列の姿に、思わず感動してしまいました。

 コミケでコスプレをするために更衣室を使うには、入口で所定の料金を払ってコスプレ登録をしなければなりません。そしてその証明書として、いつもならコスプレのルールが書かれた小冊子『ちぇんじ』が渡されます。しかし今回は、30周年の記念イベントなので、渡された物はいつもとは違いました。登録証は腕輪。そして何と、表彰状(記念証)が発行されたのです。

『あなたはコミックマーケット
30周年スペシャルに参加され
イベントルールを守り
その成功に大きく貢献されました
依ってここに記念証を贈ります』

 更衣室は程良く混雑しておりました。空きスペースを探して特別仕様に『変身』する。他のコスプレーヤーさんも様々な姿に変身しており、さながらファッションショーのよう。女性キャラクターのコスプレをする人もいて、もはや誰が男性で誰が女性なのか、分かりません。
 
 今回のコスも、いつもと同じ神職のコスチュームです。

 神職仕様に変身を完了すると、一路お目当ての企画へ。今回の企画の中には、鉄道模型関連の物がいくつかあります。その中で、車輌を持ち込むと(持ち込まなくても)運転させてくれる所があるので、そこへ行きます。ビッグサイト内で、しかもコミックマーケットで鉄道模型を運転できる機会なんて、今回しかないもんね☆
 
 ここは予約制で、1回30分間運転させてくれます。複々線のレイアウトで、内側2線はその企画の出展者が、外側2線が一般の人が運転する路線になっています。
 一番早い空き時間は今から30分後の5時30分からなので、そこに予約を入れました。
 さて、その時間まで、他の鉄道模型企画でも見に行きますか。ここ以外の模型企画には、コミケの風景をNゲージで再現しようとするものと、Nゲージでドリフト走行を再現する企画があります。コミケの風景は準備中なので、ドリフト走行を見に行きます。
 ドリフト走行は、ただ今運転中で大盛り上がり。ドリフト走行とは、レース中の自動車が高速で急カーブ(ヘアピンカーブ)を曲がる時、慣性と遠心力を利用して、車体を横に滑らせるようにして曲がる方法のことを本来は言います。なのでドリフト中の車は、前面が常にカーブの中心を向いています。
 では、線路によって軌道が決められていて、横滑りできない鉄道の場合、どのようなドリフトになるのでしょうか。この展示によると、複線区間を走行中の列車の先頭車両が、前後の台車で複線に跨って走る状態のことを言うそうです。つまりカーブにさしかかったら、先頭車の前の台車だけをすぐ隣の線路に移すのです。ですので本当にドリフト走行をしているのは先頭車両だけ、ということになります。
 しかし、実際には、走行中に台車を隣の線路に乗せ変えることは(ポイントがない限り)出来ないので、この展示では常にドリフト走行をしている状態で走ることになります。
 この企画では専用の固定式レイアウトが用意され、そこをドリフト走行しながら列車が走っています。複線の線路は2カ所で交わり、先頭車のドリフトの向きが変わるようになっています。さらに先頭車両にはカメラが搭載され、その映像をリアルタイムでモニターに流しています。バックミュージックにはプレイステーションのレーシングゲームで使われていそうなノリノリな音楽が使われ、気分を盛り上げています。
 しかしまぁ、その走りのスムーズなこと。カーブはもちろん、線路の交わる部分を通過しても脱線しません。しかも複線トラス橋の中をドリフトしたまま、無事に通過したのには驚きました。レイアウトにレースの観客席が設けられていたのも面白かったです。

 時間が来たので、先ほどの運転可能レイアウトに戻ります。
 チェックインを済ませ、持参した車輌を線路上にセットする。今回のために持参した車輌は、3両の赤い50系客車とステンレス製・無塗装のEF81形300番台。下関〜門司間で実際に見られた編成です。ただし50系客車は、私のオリジナルで冷房化改造。屋上にはGREEN MAX製のAU711形クーラーが2基乗っています。
 セットが完了したら、早速運転開始。大きなレイアウトで運転するのは久しぶりです。
 運転中、このレイアウトには様々な人が訪れました。走行している車輌を覗き込む人、内側を走っているスーパーレールカーゴを見て、その編成の長さに反応する人、レイアウトに置いてあるゴジラのフィギュアに自分の車輌を持たせる人……。もちろん私の車輌を見て、「冷房改造しているよ〜」とか、「マニアックな編成だなぁ」などと言う人もいます。
 さらにレイアウト上を走る車輌も様々で、ショートデフォルメされた『Bトレインショーティー』の165系で再現された大垣夜行が走ったり、同じくBトレインショーティーのリニアモーターカーが走ったり。変わったところでは、軍艦の模型に台車を取りつけて、ディーゼル機関車で推して走らせていたり。特に軍艦は大受けで、こっちも大いに笑わせていただきました。

 まさかコミックマーケットで、しかも神職のコスプレをして、なおかつ6時前という早朝に鉄道模型を運転する日が来ようとは。今まさに貴重な体験をしているんだな、という感慨にふけりながら鉄道模型を運転する。そうしているうちに空が白み始め、窓から見える空は紫から水色へと色を変えていきます。
 
 こうして楽しい運転は終了。朝焼けに染まる会議棟を撮影するために西館屋上に出ようとしたら、出口にはスタッフさんが立っていて、止められてしまいました。第1部の入場行列を屋上に引き込むので、第1部が始まるまで待って欲しい、とのことでした。それで解放したら、いつものコミケのようにコスプレ広場として使うのかと尋ねたら、「その通り。思い切り楽しんで下さい」と言われました。ええ、思い切り楽しませて頂きますよ。
 ならば、エントランスホールを撮影しよう。ここはコミケにサークル参加すると、まず最初に通る場所。サークル参加者はここで朝陽を見て自分のスペースへと向かいます。こんな時間のエントランスホールを撮影する機会は他にありません。
 
 エントランスホールを撮影し、東ホールへと通じる通路を見てみると、シャッターが閉まっています。なのでまた西4階へと引き返す。引き返す途中、屋上へと続く外階段を見てみると、長い長い行列がそこを登っていきます。企画参加の行列に並ばずに、ずっと外で待っていたら、今頃になって入場かぁ。ああ、企画展示の列に並んで、良かったぁ。
 それから西4ホールのコスプレ広場をうろついて、気に入ったコスプレイヤーを撮らせてもらったり、パンとスープを出してくれる企画ブースへ行って朝食を摂ったりして、時間をつぶす。
 他の企画を見てみると、プラレールでマニアックな車輌を走らせているところや、ミニ四駆の公式戦をやっている企画などがあります。プラレールと言ってもそのレイアウトはかなり凶悪で、坂を登れない車輌があるほど。また、ミニ四駆はどうして単3電池二本でそこまでスピードが出るのか不思議なくらい、とんでもない速さでコースを周回しています。あのマシーンなんか、速すぎて車体が浮いてますぞ!
 他の企画では、『逮捕しちゃうぞ』のパトカーが展示されていたり、メイド服などのコスプレ衣装の貸し出しをしていたり、『魔法陣グルグル』の双六大会会場になっていたり、?な物の展示をしていたり、実に様々です。コミケ総統の米沢氏(米ヤン)をみんなで追尾して、携帯電話で写真を撮って報告し合おうなんてストーキングまがいの企画まであります。

 7時になり、第1部が始まると、西館屋上が開放されてコスプレ広場になりました。なので早速そこへ行ってみる。ところが風が強く、寒いのか、それとも開会してからまだ間がないからか、ほとんど誰もいません。それでも気に入ったコスプレイヤーさんが3人一緒にいたので、撮らせてもらいました。空いている分、距離をとって撮れたので、全身が入る写真を手に入れられました。

 時間はまだ8時前。会場の近くにある『IDC大塚家具』のビルは順光に輝き、目の前の海と空は青く輝いています。普段なら眠い目を擦りながら朝食を食べている時間ですが、この景色を見るととてもそんな時間には思えません。
 ちなみに、このあたりは大怪獣発生地帯になっています。IDC大塚家具のビルの向こう側にある歩道で撮影された『富士楽器』のCMでは、ピアノを踏み潰そうとしている怪獣に対して、女の子が「使わないピアノは富士楽器が買い取ってくれるのよ!」と言って怪獣を止めていました。さらに映画『ゴジラVSデストロイアー』では、東京ビッグサイトがゴジラによって、東6ホールとゴキブリホイホイ(エントランスホールと東ホールを結ぶブリッジ)を残してこっぱ微塵に破壊されています。
 また、怪獣は出てきませんが、TV東京系で放映されたアニメ『東京ミュウミュウ』では、コミックマーケット63(2002年12月28日〜30日開催)が開催されるちょうど4日前のビッグサイトが登場し、その屋上広場でなにやら戦いをしていました。同人誌が出てくるアニメでは、『げんしけん』や『こみっくパーティー』、『花右京メイド隊』などでもビッグサイトが出てきます。
 
 さて、再び企画展示に戻りましょう。コミケの風景を再現しようとしている企画ではだいぶ準備が進み、会議棟が所定の位置にセットされて入場行列の再現が始まっておりました。会議棟の下あたりに両面テープが貼られ、そこにNゲージの人形を1体1体ピンセットでつまんでは根気よく並べていきます。時にはふざけて会議棟の屋上に、「米沢夫妻」とか言って男女の人形を乗せたり、入場行列の人形を寝かせて「徹夜組〜♪」等と言っています。
 本物の入場行列はすぐに伸びるのに、模型の入場行列はなかなか伸びません。一体一体並べていくのを、こちらも固唾を飲みながら、根気よく見守ります。そしてついに、行列は完成!目線を行列の高さに合わせて見てみると、いつものコミケの風景がそこにありました。

 しばらく見てから、他の企画を見に行ったり、屋上のコスプレ広場でコスプレイヤーの写真を撮らせてもらったりしました。
 屋上コスプレ広場も徐々に人が増え始めた様子。おや?あそこでは他のコスプレイヤーさんに撃たれて、女の子が一人うつぶせに倒れていますよ。
 もちろんこれもコスプレイヤーさんどうしの演技の一つ。普通のコミケではピストルや刀などの武器系の小物は持ち込めませんし、このようなアトラクション行為は出来ません。しかし、今回だけ規制が緩和されて、このようなことが実現。面白いので撮らせてもらいました。
 屋内のコスプレ広場もますます盛り上がってきました。屋内のコスプレ広場では『着ぐるみ』の着用が出来るので、格好いいコスプレイヤーさんがたくさんいます。ガンダムのモノアイガンダムまでいます。着ぐるみの他にも様々なコスプレイヤーさんがいて、『銀魂』のコスプレイヤーさんの写真を撮らせてもらったところ、女の子どうしがピコピコハンマーで頭を殴り合っているポーズをとってくれたりして、とても楽しい時間を過ごしました。

 さて、今回はコミックマーケット準備会も展示をしています。コミックマーケットが歩んだ30年間の歴史と、昨年イタリアのベネチア・ビエンナーレに出展した時の出展物の再現が展示されています。
 30年の歴史では、年表はもちろんのこと、今までに発行されたコミケカタログや森林保護募金のポスター、うちわなどのグッズ類、コミケの写真などが展示されています。思わず、自分が誕生した年の発行物に目が行ってしまいます。自分もこうして成長したけれど、コミケもこうやって、今のように成長してきたんだなぁ。コミケの成長と自分の成長を重ね合わせて感慨にふけってしまいました。
 ビエンナーレの展示では、コミケカタログに掲載されたサークルカットを使って、ビッグサイトのホール内のサークル配置が再現されています。知っているサークルのサークルカットを思わず探してしまいましたが、結局知っているサークルさんのサークルカットは見つかりませんでした。また、どうやらコミックマーケット65(2003年12月28日〜30日開催)のサークルカットを使って再現されたようなので、その回のコミケに落選した当サークルのサークルカットはありません。
 それにしても、これだけ美しく並べられていると、破壊衝動がむらむらとわき起こってしまいます。今すぐこの上にうつ伏せになって、胸の下でバキバキと潰れる感触を味わってみたい…………。
 …………な〜んてイケナイ事はしてはいけませんから、あくまでも想像だけにしておきます。

 今度はサークルスペースのある1階に行ってみる。するとここにも企画展示が。そしてホールの隅に行ってみると、机で囲まれた区画の中に新品の段ボール箱がうずたかく積まれた場所がありました。その段ボール箱の山にはコミケ準備会からの販売停止カード(黄色)が貼られ、しかもその山の前には機関銃を構えた兵士が立ってガードしています。この兵士もコミックマーケット準備会のスタッフで、近くには『ネタ写真を自由に撮って構わない』という内容の貼り紙までしてありました。貼り紙の文章を音読すると、その兵士が頷いたので、一枚撮らせてもらいました。
 ちなみに販売停止カードは、サークルさんが何かしらの違反をするとコミケ準備会によって貼られます。色は水色、黄色、ピンク色の3種類があり、それぞれに意味があります。水色は遅刻して、まだサークル受付を済ませていない時、黄色はコミケ準備会が定めるワイセツ図画(とが)の規制に明らかに違反した、もしくは違反の可能性が高い時、ピンク色は消防法の違反や搬入方法などの違反を犯すと貼られます。だからこの段ボールの山に黄色の販売停止カードが貼られていると言うことは……(笑)。
 もちろんこの段ボール箱の件についてはコミケ準備会による冗談で、ワイセツ性は全くありません。この段ボール箱は今回のコミケットスペシャルの記念限定段ボール箱で、準備会の頒布物の一つです。

 再び屋上のコスプレ広場に行ってみると、人が増えていつものコミケのような混雑を呈しておりました。風は吹いていますが、陽当たりが良くて温かい、いやむしろ暑いくらい。気に入ったコスプレイヤーさんを撮影してからまた屋内の企画を見たりして、コミケットスペシャルを堪能。昼時になったので、今度は西2ホール屋外のスロープ側に展開している屋台村へ行き、昼食にする。屋台村では、アメリカ、インド、タイなどの料理が売られており、国際色が豊かです。その中で、『タイのごはん』を食べてみる。タイのご飯は炊いたお米の上に料理された野菜や肉が乗ったもので、栄養バランスも良く、美味しいです。しかし、やはり辛かった……。
 その後も、企画と屋上のコスプレ広場を行ったり来たり。企画では用意されたステージでサークルさんがライブ演奏をしており、観客と一緒に大盛り上がり。近くの企画ブースでは、西洋の甲冑を着てみる体験が行われ、その奧ではチャンバラで試合をしています。
 ライブで盛り上がった後、再びコスプレ広場でコスプレイヤーを撮影。そして第2部のサークル入場が始まる時間になったので、自分のスペースのある西1階西1ホールに向かいました。

第二章 サークル参加編

1,束の間の休息

 サークル入場は14時からです。この時点でコミケの開会から10時間が経っていますが、とてもそのような実感はありません。そして終了まであと7時間もあります。
 第1部は13時に終了し、既に西1・西2ホール内からは第1部のサークル参加者と一般参加者が締め出されています。
 自分のスペースを確認すれば一安心。そこに荷物を置いて身軽な姿になって、会場に宅急便で送った頒布物を取りに行きます。
 頒布物が揃ったら、いよいよサークルスペースの設営です。スペースは机半分とイス2脚。机には棚がないので、イス一個を机の下に引き込んで、そこの座面を棚代わりにしました。
 サークルスペースを有効利用できるかどうかは自分次第。特に当サークルのように頒布物の種類が多くて机の上に載り切らない場合には、それこそパズルを解くような設営になってしまいます。当サークルの場合には岡山県内の100円ショップで買ってきた棚を使って、何とか全ての頒布物を載せることに成功しました。あとは、段ボール箱や一般参加時の荷物をどこに置くかを考える。一般参加時の荷物は当分使わないので、棚代わりのイスの下に入れておく。段ボール箱には筆記用具などを入れて、脇に置いておきました。自分の座る所が、何だか飛行機のコックピットのようになってしまいましたが、この狭い空間はかえって落ち着くかも知れません。
 他のサークル参加者も続々と到着して、準備に取りかかっていきます。両隣のサークルさんも到着。自分から見て左隣のサークルさんからは、差し入れのお菓子を頂きました。

 設営を完全に終え、見本誌と参加登録カード(誓約書になっている)を提出してサークル登録を済ませたら、頒布の準備は完了です。後は、コミケの30周年記念本を受け取って、開会放送を待つことにしました。
 開会30分前の15時30分、ホールのシャッターが全て降りました。これでホールは完全に閉鎖。隣の西2ホールへ行くことはもちろん、アトリウムへ出ることもできません。おそらくこの間に、一般参加者の行列がアトリウムに引き込まれるのでしょう。今朝のような美しい行列が再び現れます。
 一般参加者はただひたすら外で立って待っています。でも私たちサークル参加者は、イスに座って楽ちん楽ちん。自分の城で殿様気分。もしくは自分の基地で将軍気取りでしょうか。でもイスにボーっと座っているだけでは退屈してしまいます。しかしサークルスペースを出てホール内を散歩でもしようものなら、コミケ準備会のスタッフに捕まって、ホールの外へ出されてしまうかも知れません。何しろサークル参加者は、ホール閉鎖後は自分のスペースで待機することになっているのですから。なので、さっき準備会からもらった30周年記念本を読むことにする。
 ……でも、昨日の朝からずっと寝ていない身には、その小さな文字を読むのがつらい。何だか次第に不思議な物が見えてきたので、少し眠ることにしました。
 昼寝で見た夢は、ハッキリ言って悪夢でした。その中で、15時45分に行われた一斉点検放送(以前から、脅迫状や放火事件があったため、全ての参加者の危機管理意識を高めるために行われている。一斉点検放送の概要が簡単に説明された後、「♪捜し物は何ですか〜」で始まる『夢の中へ』という歌の、最初の部分が流される)だけが、虚しく頭の中を過ぎていきました。

2,サークル参加の醍醐味

 16時ちょうど、開会放送と盛大な拍手によって、第2部が始まりました。当サークルスペースは、アトリウム側の壁際の通路に面して配置されており、通路を挟んで目の前にはサークル窓口があります。
 その通路を、トラックヤード側の壁際に配置されている大手サークル(本が何千冊も売れる超人気サークル)目指して、たくさんの人が通過していきます。中には小走りで行こうとする人もいますが、スタッフさんに走らないように注意されると、おとなしくそれに従っています。何だか可愛いですね。そんなわけで、開会直後は島中の小サークルには目もくれず、みんな大手さんにまっしぐらです。ああ、早く自分も大手サークルになりたい……。
 ようやく小サークルに人が集まってきたのは、第2部開会から40分くらい経ってからでした。しかしそれからが大忙し。ひっきりなしに一般参加者が訪れて、当サークルの頒布物を手にとって見て下さいます。16時45分、1冊お買いあげ。ありがとうございます。
 そばのサークルの売り子さんは、鉄道唱歌を歌い始めました。汽笛一声新橋を〜♪で始まって、ひたすら東海道を鉄道唱歌で西進しています。しかしまぁ、よくここまで覚えられたものだ。私自身、鉄道唱歌は一番最初の奴と、碓氷峠(信越本線)の部分しか知りません。

『これより音に 聞きいたる
碓氷峠のアプト式
歯車付けて 降り登る
仕掛けは外(ほか)に 類なし

くぐる隧道(トンネル)二十六
ともしびうすく ひる暗し
いづれば天地 うち晴れて
顔吹く風の 心地よさ』

 忙しいところに追い打ちをかけるように、ブロックノートが回ってきました。ブロックノートとは、サークル参加者がコミケに参加した感想などを書く、専用の記念ノートのことです。何年も前のコミケから廃止されていましたが、今回だけ特別に復活だそうです。それで私は何を書いたかというと、設営に参加できなかった愚痴をズラズラと。他のサークルさんでは、例えばNゲージで右翼の街宣車を作るための素体にできる真っ黒いバスを売っているサークルさんは、バスのイラストを描いて、「黒いバス〜」などとコメントしています。
 しかしありがたいことには、私がブロックノートを書いている間、当サークルに来てくれた人が、書き終わるのをずっと待っていてくれたのです。おかげで落ち着いて書くことが出来ました。

 それからもひっきりなしに、多くの人が鉄道サークルに訪れました。立ち読みする人たちで、それぞれのスペースは混雑を呈しています。立ち読みをして本を選んでくれると言うことは、中身をじっくり吟味した上で選んでくれると言うことであり、とても嬉しいです。中には、中身を見ずに、いきなり「あさかぜ(当サークルの新刊)下さい!」と言う人もいてビックリ。同じ本を2冊買って下さるありがたい人もいました。
 そして再び、ブロックノートが回ってきました。今度は趣向を凝らして、別のことを書き込む。

『へっへっへっ、今年でコミケも三十路か。肌の張りがなくなってくる頃だな。ざまーみろ。しかし、これからは貫禄がついてくるので、コミケにはそれを大切にしていって欲しいと思う。コミケの未来に栄光あれ』

 そうしている間に、トラック搬入口から見えている外が少しずつ暗くなり、コミケ会場は再び宵闇に包まれました。
 コミケが始まって約13時間。そろそろ疲れが出てきたのか、目の前の通路が新宿の地下通路に見えてきました。ビッグサイトにいるという感覚がなくなってきたのです。その感覚を元に戻してくれるのは当サークルに来てくれた皆さんです。
「あ、鉄道集2005年版とあさかぜをお買いあげですね。ありがとうございます。1600円になります。……2000円入ります。400円のお返しです。ありがとうございました」
 眠くても計算力だけは冴えているようで、電卓を使う機会がほとんどありません。

 さて、更衣室が閉まるのはコミケ閉会の1時間前、20時ちょうどです。今は19時ですが、元の服装に着替えることにしました。お隣のサークルさんに声をかけてから着替えに行く。
 着替えを済ませてサークルに戻ったのは、それから20分後でした。そして再びサークル参加者の顔をして頒布します。一般参加者は少しずつ帰り始めていて、次第に目の前の人通りが少なくなってきました。でも閉会までは1時間以上あります。残された時間を思い切り楽しむことにします。

 小サークルには、大手サークルにはない物が1つだけあります。それは、『駆け込み需要』です。大手サークルは早々と完売してしまうので、閉会直前には頒布物が残っていないのです。私たち小サークルは、駆け込み需要を武器に頒布をしていきます。何事も、最後まで諦めない精神が大切です。そう言っている間にも、ほら、1冊お買いあげだ。
 閉会20分前。そろそろ、帰りの宅配搬出の混雑を考えてスペースの撤収作業に入りました。荷物パズルと再び格闘です。この時、持ち帰るべき荷物を段ボールに入れてしまわないように注意しなければなりません。時々、帰りの切符や財布、自宅の鍵を段ボール箱に入れてしまい、後で混乱しながら探し回った、なんていう人がいますが、ああはなりたくないですからね。
 しかも本を傷めないように、隙間もなくす必要があります。様々な大きさの物をピッタリ入れるのに一苦労。撤収は設営よりも大変でした。閉会15分前には一斉点検放送がありましたが、適当に周りを見回すだけで、ロクに協力できませんでした。

 そして片づけが終わる頃、
「ただ今を持ちまして、30周年記念コミケットスペシャル4を閉会いたします」
 という放送が流れました。それと同時に大きな拍手がわき起こり、続いてホール中で3本締めと1本締めが行われました。コミケ参加者のまとまりの良さには、本当に感心してしまいます。
 
終章 会場撤収

1,撤収作業

 荷造りを終えた段ボール箱を持って宅配業者の所に行くと、全く混んでおらず、すぐに受付を完了しました。
 それからは、お楽しみの会場撤収作業に参加です。荷物置き場を探して荷物を置き、まずはイスリレーに参加。コミケで使われるイスの中で大多数を占める、『折り畳みイス目 パイプイス科』のホートク椅子。これを専用の台車に乗せていきます。
 イスを載せ終わると、今度は机リレーに参加……と言っても、ほとんどの机は既にトラックに載せ終わっている!やっとの事でまだ載っていない机の山を見つけ、それをトラックに載せるべく、トラックの荷台に自分が上がる。
 リレーされてきた机を、荷台にきちんと載せていきます。アキハバラ撤収組の方は、ハンマーで叩いて、出っ張った机を押し込んでいます。机は順調に積まれていき、足場がなくなったので、トラックから降りました。机リレーは続いていますが、自分の入る余地はないので、ここで仕事を終えました。今回は会場が小さいので、いつもの撤収作業よりも早く作業が進んでいます。

2,反省会

 邪魔にならないところから適当にホール内を撮影し、アトリウムで開かれる反省会に行きました。
 私が行った頃にはすでに大勢がアトリウムに集まって、コミケ総統の米ヤンの登場を今や遅しと待っていました。そして米ヤンが登場すると、盛大な拍手がわき起こりました。
 いつもの反省会では、希望者は一人ずつ米ヤンに直談判が出来るのですが、今回は22時をすでに回っており、それをすると全員終電に間に合わなくなってしまうので、米ヤンのお話だけでおしまいです。
 米沢氏の話によると、今回のコミケも事故はなく、コミケがまだ若かった頃のような自由な雰囲気を楽しむことができた。サークルは自分たちの持つ可能性を存分に発揮でき、また来た人はそれを楽しむことが出来たと思う、とのことでした。でも次からはいつものコミケに戻ります。
 
 米ヤンのそばの床には大量の花が置かれており、反省会が終了すると、それをめぐってのジャンケン大会が行われました。勝ったら持ち帰れます。それが終わると、皆米ヤンの所に押し寄せて、米ヤンを胴上げしようとしました。でも米ヤンは、それをやんわりと拒否。すると皆は、米ヤンに触り始めました。彼に触ると御利益があるそうなのです。でも当の本人にとってはありがた迷惑かと。しかも押し合いになって非常に危険になったので、ここで解散となりました。

 名残惜しく会場を出た頃には、23時を回っていました。有明に着いてからちょうど24時間。こうして、30周年記念24耐(!?)コミケットスペシャル4は、無事に終わりました。

おしまい。
 



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