285系


サンライズ瀬戸・サンライズ出雲(東京駅にて)

 

 『サンライズエクスプレス』こと285系電車は、老朽化・陳腐化した従来の客車寝台特急を置き換えるために、1998年7月のダイヤ改正で運転を開始しました。月光形と呼ばれた581系・583系電車以来、約30年ぶりの電車寝台の登場となりました。
 かつてはいつも満席になるほどに利用されていた東海道・山陽本線の寝台特急は、新幹線や航空機が便利になり、安い値段で利用できる高速バスが増えると、どんどん斜陽化していきました。
 しかし、新幹線や飛行機の最終便より遅く出て、始発便より早く着く列車は依然として人気があったし、時間はかかっても優雅な旅を楽しめる豪華列車、例えば大阪〜札幌間を21時間かけて走るトワイライトエクスプレスのような列車も人気がありました。
 そこで起死回生を図るため、東海道・山陽本線の列車にも豪華な列車を導入し、ついでに足の速い電車にすることで所要時間を短くして利便性を上げようということになりました。
 白羽の矢が立てられたのが、東京〜高松間を走る瀬戸と、東京〜出雲市間を走る出雲2往復のうちの1往復。山陰本線の城崎〜伯耆大山間は電化されておらず電車では直通運転ができないので、サンライズ化される出雲は伯備線経由に変更されました。そしてサンライズ瀬戸とサンライズ出雲の運転区間が重なる東京〜岡山間は、2列車を併結運転することにして、運行コストの削減を図ることにしました。
 サンライズは総二階建てにして乗車定員の確保を図り、予算に応じて多様な旅が楽しめるよう、普通座席車からA寝台車まで様々なタイプの車輌が用意されました。もちろん、座席車以外は全て個室。普通座席も横になって寝られるように、一人ずつ区分されたカーペット敷きになっています。車内や個室内は木目調の壁と白熱灯が多用され、落ち着いた雰囲気に仕上がっています。そして旅行が窮屈にならないように、小さなフリースペースも用意されました。
 最高速度は時速120km。客車を使った従来の寝台特急より10km/hほど速度が上がり、東京→岡山間の所要時間は約1時間短くなりました。
 サンライズは好評で、多客期にはサンライズ瀬戸が松山まで延長運転されています。また、東京〜広島間で臨時列車『サンライズゆめ』が予備編成を使って運転されています。

    ←戻る





  

inserted by FC2 system